一貫性の法則が使われた例

一貫性の法則を利用した例

 

まさに反応が自動的である一貫性が、思考からの退避場所としての役割を果たしているのならば・・・

その無意識な反応を悪用されていても不思議ではないですよね。

特に人々を騙して金儲けをするような悪徳業者にとっては、
一貫性を保とうとする私たちのこの傾向は、まさにお金を掘り起こすかのように利用されてしまう可能性があります。

その為こちらは、
「うわ、やられた・・・!」と気付けることがほとんどありません。

 

例を見ていきましょう。

 

一貫性の法則を利用した例

とあるおもちゃ販売店は頭を抱えていました。

おもちゃの売り上げが上がるのは、クリスマス直前とその最中なのですが、その後はおもちゃの売り上げが急激に下がってしまうのです。
お父さん・お母さんは、おもちゃの為の予算を既に使い果たしてしまっているので、当然と言えば当然ですね。

仮に子供が親に、「もっとおもちゃ欲しい!」とねだっても、中々買ってはもらえないはず。
なので、これではおもちゃ販売店は困ってしまいます。

ではどうすれば、親がクリスマス後も子供におもちゃを買ってくれるようになるのか?

ついにこのおもちゃ販売店は、ある解決策を見つけたようです。

その内容は、

・まずクリスマス前に、魅力的で子供が欲しがる特定のおもちゃのCMを流します。

・次にそれを見た子供が、親に買ってもらう約束を取り付けます。

・しかしおもちゃ販売店は、そのおもちゃを少ししか卸しません。

・その為、大半の親はそのおもちゃを子供に買ってあげられない。
なので、他のおもちゃを買わざるを得なくなります。

・もちろんおもちゃ販売店は、代用となるおもちゃを沢山卸しておく。

・そしてクリスマス終わり、もう一度その特定のおもちゃのCMを流します。
それを見た子供たちは、前以上にそのおもちゃが欲しくなる。

・子供は親の元へ駆け寄るが、親は首を中々縦には振りません。

・そして子供は言います。
「買ってくれるって約束したじゃん!」と。

さてこうなってしまうと、
大半の親は自分の言葉を裏切りたくないからと、重い足を引きずりながらおもちゃ販売店へと向かってしまうでしょう。

 

つまりおもちゃ販売店は、
クリスマス最中に求めていたおもちゃが売り切れていたときに、親が子供に放つであろう、

「もしも今買えなくても、そのうちきっと買ってあげるから・・・」

という、まさに一貫性を保とうとする傾向を利用しています。




身近にある相手を説得するテクニック「一貫性の法則」

一貫性をもう少し学ぶ

 

 

前の記事で、「人は一貫性を保とうとする傾向がある」とお伝えしました。

 

 

例えば突然知らない人から、

「トイレに行く間、ここにカバンを置いておくので、誰かに盗まれないようにカバンを見ておいてもらえませんか?」
と、頼まれたところをイメージしてみてください。

これを断れば、そのカバンがどうなろうとも当然あなたに責任はありません。
しかし同意をすると、一貫性の原則が働きます。
すなわち、多くの人は警備員のような役目を果たそうとするのです。

もしも対象となっているカバンを、他の誰かが持ち去ろうとしたら追いかけて呼び止め、声をかけます。
また、時には体を張って行く手を遮ったり、力づくで奪い返そうとするかもしれません。

 

では何故、人はこのように一貫性を保とうとしてしまうのかと言うと
もしも言うことと実際の行動が一致していなかったら、
「裏表がある人ではないか?」
「頭がおかしいのではないか?」
などと思われてしまうからです。

 

参考

言ってることと行動が一致している人は、
「人柄が優れていて知的である」と見られるのが普通です。
なので、
一貫性は日常生活の大部分において、重視されるものの1つと言えます。
例えそれが正しくなかったとしても、です。

 

しかし、
一貫性というものには、手に負えない魅力が隠されています。

まず私達人間は、
「考えるのが嫌だ」ではなく、「考えた結果が不快だから」という理由で考えるのを避けることがあります。

その理由は、
物事は大抵の場合、秩序正しく考えていくとどうしても望んでいないような答えがはっきり出てしまうものだからです。
一貫性は、そんな嫌なことを知らずに済む安全な隠れ家を提供してくれます。
そしてその隠れ家に閉じこもっていれば、「理性」という激しい攻撃を受けても傷つかずに済むのです。

ちょっと分かりづらいかと思うので、例を見てみましょう。

 

ある日、あなたの元にこんなチラシが届いたと仮定します。

人生が変わる!超瞑想プラグラム ~高みを目指す~

「新規加入者大募集中!」

このプログラムは、独特の瞑想を行っております。
まずは、心の安らぎから手に入れましょう。
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・空中浮遊
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を身につけることができます!

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※加入希望者は、説明会後に受け付けます!

 

さて、
この手の勧誘講座に興味があったあなたは、説明会に出席することを決めました。
参加者はあなた以外にもいて、例えば

・俳優の卵で、どうしても俳優で成功をしたいという男性。
演技力を瞑想で高められるかどうか知りたくて参加

・ひどく不眠症に悩んでいる男性。瞑想でリラックスできるようになれば、きっと夜ぐっすり眠れるだろうと思い、参加

・大学受験を控えている学生。
勉強の時間が中々取れないので、睡眠の時間を削ろうと考えている。
それができれば、削った時間を勉強に充てることができる。
なので、瞑想で質の良い睡眠にできないか知りたくて参加

 

説明会を担当している若者二人は、「瞑想により、様々な素晴らしいものが手に入る!」と主張していました。

そして説明会終了後、その若者二人が参加者に質問を求めたときに、それは起きました。

 

参加者の一人の男性がイライラしながら手を挙げました。
すると男性は、今までの二人の若者の説明に対して
矛盾点、どうしてそれが有り得ないのかなどを正確に指摘したのです。
(その男性は、どうやら論理学を専門としている大学の教授とのことでした。)

若者二人は激しく動揺し、弱弱しく反論を試みるも、途中で詰まってしまいました。
しばらくの沈黙の後、ついに若者二人は「あなたの指摘は的確なもの」であると認めました。

 

普通なら説明会は大失敗に終わっているはずです。

がしかし、何と二人の若者に入会費を払おうとする人が列をなしたのです。
不可解なほど、多くの参加者が入会を決めていました。

 

さて、何が起こったのでしょうか?

「参加者が、大学の教授の論理を理解できなかったんでしょ?」
などと考えられるかもしれませんが、何と実際は全く逆だったのです。
参加者はしっかり理解していました。

説明会に参加した男性3人を思い出してみましょう。
彼らはもちろんですが、参加者のほとんどが本当に切実な問題を抱えた人達です。
そしてその問題の解決方法を強く望んでいるはず。

 

要するに・・・

つまり彼らは、
「この瞑想こそ求めていた解答」だと信じたくて仕方がないのです。
ところが、「その解決策の理論はおかしい」という声が上がってしまった。
その論理が彼らの「救い」という考えを打ちのめし、彼らを再び絶望へと突き落とすことは分かりきっているはずです。

彼らは早急に何か手を打たなければならなくなりました・・・。
だって、「もう考えたくない!」のだから。

「急いで隠れなければ!理性から。
・・・そうだ!お金を払って入会してしまおう!

よし!これで決定は下された。
もうこれで何も考える必要はないよね。

「瞑想?あぁ、効果でていると思いますよ?
だって、入会金を払ってしまったのだから・・・」

 

このように
一貫性を保つことって、凄く心地よいものなのです。
色々なやり方を探し求めて、不安になったりするよりははるかにマシでしょう。

だけど、
まるで一貫性にしがみつくようなこの行為は、果たして賢い選択なのでしょうか・・・?

 

一貫性の利用されている例をもう少し見てみたい方は、

一貫性の法則が使われた例




身近にある相手を説得するテクニック「コミットメント・一貫性」

コミットメントと一貫性の法則を学ぶ

 

まずは、あるカップルの話を例に見てみましょう。

コミットメント・一貫性の例

二人は出会った後、しばらくの交際を経て同棲するようになりました。

そして彼女は、彼氏にある不満を持ち始めました。
それは、

・酒量を減らしてほしいこと

・正式に結婚してほしいこと

です。

しかし彼女の言い分を、彼氏は2つとも拒否したそうです。

それをきっかけに、二人は喧嘩ばかりするようになってしまいました。
彼女は彼氏と別れる決心をし、やがて二人は別れました。

次の日、
彼女と昔付き合っていたボーイフレンドから電話がかかってきました。

そして二人は交際を始め、婚約。
結婚式の計画を立て始めました。

ところが結婚式の直前に、先日別れた彼から「もう一度やり直して欲しい」と電話があったのです。

彼女:「あんな生活には戻りたくないわ」

彼氏:「結婚したっていい」

彼女:「それでも、新しい恋人のことが好きだから諦めてよ」

彼氏:「考え直してくれるなら、お酒だってやめるよ」

そしてついに彼女は、「そこまで言うのなら・・・」と、
婚約をキャンセルして、もう一度彼と一緒に暮らす決心をしたのです。

しかしやり直した後も、彼の禁酒は三日坊主で終わってしまいました。
更に挙句の果てには、「結婚はもう少し様子を見てからやるべきだ」と言い出したのです。

普通なら彼女は怒り狂って、すぐにでも別れるかと思いきや・・・
なんと二人はまだ同棲を続けているそうです。
もちろん彼氏は相変わらず大酒飲み。
もちろん結婚の計画もありません。

にも関わらず、
彼女は以前にも増して彼氏に夢中だというのです。
何も満たされていないはずなのに、「以前よりも幸せ」なのだと。

 

 

さて、一体何が起こったのでしょうか?

これが今回ご紹介するコミットメント・一貫性になります。

 

そもそもコミットメントとは

簡単に言えば、
自分が下した重要な決断の正しさを、何が何でも信じようとする現象のことを言います。

 

 

参考!

例えば、
選挙で一票を投じた後、その候補者が何故か特別に感じないでしょうか?
そして事実、その直後から「投票した候補者が勝つ」と強く信じ込んでしまうのです。

その他、この現象は競馬でもよく見られます。
競馬が好きな人の多くは、
馬券を買う前よりも買った後の方が、勝率を高く見積もってしまう傾向があります。
まるで「自分が賭けた馬は特別だ」というかのように。
もちろん競馬場もコースも馬も、馬券を買う前と何も変わっていないのにも関わらずです。

これらの現象は、

「自分がすでにしてしまったことと一貫していたい」

そんな欲求が原因です。

 

つまりある決定をした後、
それと一貫した行動を取るように圧力がかかるのです。
この圧力によって、私たちは自分の決断を正当化しながら行動するようになっていきます。

 

参考!

私がどうしようもない彼を再び選んだ選択は絶対間違っていない・・・

つまり、

「自分は正しい選択をしたんや!」

そう自分に言い聞かせるだけで、本当に自分の決定に対する満足度が上がってしまう。

これが最初の例での現象の正体になります。

 

私たちは実際、
「自分のこれまでの行為や決定と一貫した思考や信念を持ってしまう」とされています。
しかしそれが強すぎてしまうと、時には自分を騙してしまうことさえある。

これと似たような経験が、おそらく皆さん1度はあるはずです・・・。




社会的ルールに騙されない為に・・・。 戦略と対策

ある日、「家庭防火協会」と名乗る男性から電話がかかってきました。

話の内容というのは、
「私たちは家庭でできる防火対策をお伝えしています。
ご自宅に危険箇所がないか無料で点検させて頂き、そして無料で家庭用消火器を差し上げています。
完全無料で行っているのですが、いかがでしょうか?」
というもの。

ちょっと興味があったあなたは、このサービスを受けることにしました。

そして男性が一人、あなたのご自宅にやってきました。
この男性は、
・火災の危険箇所が無いか調べてくれた
・どの程度火災の危険性があるか教えてくれた
・消火器を1つプレゼントしてくれた

そして最後に、
「家庭用火災報知機を設置して頂ければ、いざというときに安心ですね。
それ以外は何も問題ないと思います!
また何かあれば、お気軽にお呼びくださいね!」

と言い残し、男性は去っていきました。

めでたしめでたし。

 

・・・で終われば、
将来もしもその男性が援助を必要していると分かったら、社会的ルールに従い、喜んで何かお返しをしようという気持ちになりますよね。

そうした厚意のやり取りこそが、私たち人間の心をとても温かい気持ちにさせてくれます。
まさしく、返報性のルールの素晴らしい伝統です!

 

だがしかし・・・
ほとんどの場合、こういう話は違う結末を迎えるもの。
そう・・・
検査に来た人が、自社の高価な火災報知機を買わせようと、製品の紹介を始めます。
(それが仕事でしょうから、まぁ仕方はないのですが・・・)

要するに彼らは、
「消火器を無料で渡し、家の点検も無料で行ったのだから、うちの会社に義理を感じてくれるだろう。」
と期待して、その場で購入を促すのです。

もしもわたし達がこのような状況に陥り、
高価な商品を売りつけることが相手の主な目的であると気付いたとき、どう対応したらいいのでしょうか?

ご安心ください。あなたがやることはとても単純です。

 

 

相手の目的に気付いた場合の対応

まず行うのは、状況の再定義です。

おさらいしましょう。
あなたが受け取ったのは、
「消火器」「防火の有益な情報」「危険箇所の点検」という、贈り物ですよね。

ですのでこの「贈り物」を、「販売の手段」と考え直すとどうでしょうか?
販売の手段であるならば、もちろんあなたの選択は自由になります。

商品に魅力を感じたのなら購入すればいい
必要なければ断ればいい

何故なら、
「厚意」はセールスの戦術に対して返すものではないからです。

こう考えれば、少し冷めた気持ちになりませんか?

しかし、まだ気を抜いてはいけません。
「友人の紹介でも・・・」と相手が繰り出してきた場合も、冷静に先ほどと同じ方策を使ってください。

そしてしっかり確認してください。
「相手は本当に、先ほどの「購入してください」という要求を引き下げたのか?」
そうでなければ、それは本当の譲歩とは言いません。

ここまでくれば、あなたはもう不適切な恩義に惑わされることは無くなるはず。

そして、
防火器具や情報という贈り物が、あなたを丸め込む為の道具だと分かったら、その道具を用いて自分の利益にしてもいいとは思いませんか?

「無料で差し上げます」と相手が言うのだから、何でももらっちゃいましょう。
あとは丁寧にお礼を言い、笑顔で優しく玄関の外へお送りするだけ。

 

はい、おしまい!

摂取には摂取で、しっかりお返ししてあげましょう❤




身近にある相手を説得するテクニック「拒否させて譲歩」

※まずは復習

コントラストの原理と返報性のルールの記事を書いておりますので、もし宜しければ一読くださいませ!

コントラストの原理とは

2番目に提示されるものが最初に提示されるものとかなり異なっている場合、それが実際以上に最初のものと異なっていると考えてしまうこと。

コントラストの原理の記事はコチラ

 

返報性のルールとは

相手が自分に何らかの恩恵を施してくれた場合、自分も同じような形で何かお返しをしなくてはならないこと

返報性のルールの記事はコチラ

 

 

拒否させて譲歩を学ぶ

 

相手に「YES」といわせる為の非常に効果的なテクニックとして、最初の譲歩が使えることは前回書きましたが、
他にも「拒否させて譲歩」法というものもあるのでご紹介します。

やり方はとても簡単です。

 

拒否させて譲歩法が使われている例1

「誰かに要求を受けいれさせたい」と考えているとします。

そんなときは、
まずは確実に拒否されるような要求を出します。
そして相手が確実に拒否した後、それよりも小さな(元々自分が受けいれて欲しいと思っていた)要求を出せばいいのです。

すると相手は、2番目の要求を”自分に対する譲歩”だと考えてしまう為、自分の要求を受けいれてくれる確率はぐっと上がってしまうのです。

 

拒否させて譲歩法が使われている例2

あなたが、「普段はしつこいセールスの勧誘の人に、知り合いを晒すような真似は私はしない!」とどれだけ思っていたとしても、
例えば相手からの「買って欲しい!」という要求を断った後に、「それなら誰か紹介してくれませんか?」という譲歩の形で言われると、

ついその通りにしてしまうものなのです。

 

さて、なぜ「拒否したら譲歩」法が成功してしまうと言われているのか?
勘の良い方はお気づきでしょう。

そう、コントラストの原理も働いているからです。
(先に高価なものを購入していると、それよりも安い価格の商品がより一層安く見えてしまう現象のことでした)

これと同じように、
大きな要求から小さな要求へ引き下げるやり方であっても、

先に出した大きな要求との間にコントラストの原理が働いて、後から出す要求を非常に小さいと感じさせることができます。

 

参考

例えば、「5万円貸して欲しい」と友達に要求したいときは・・・。
「10万円貸してくれないかな?」と要求すればいいのです。
これにより、目的の5万円を実際よりもささやかな金額に思わせることができます。

つまり、
「返報性のルール(貸す相手が感じる)」と、「コントラストの原理」
この2つが「拒否したら譲歩」法に統合されると、本当に驚くべき効果をもたらしてしまうのです。

 

 

このように「拒否したら譲歩」法は、
自分の要求を通そうとする人が意図的に使うことも可能になってくるので、
「どうして相手の要求を聞いてしまったのか?」という理由を普段から考えない方は、特に注意する必要も出てくるかもしれませんね。

 

 

「初めにプレゼント攻撃をしたり、譲歩をしたりすることによって、私たちは強力な言葉の武器を得ることができる」ことは分かりました。

 

とはいえ、「相手を丸め込んでやろう」

そんな悪企みする社会的ルールの使い手が目の前に現れたとき、私たちはどうしようもないのでしょうか?

 

参考

対処法の1つとして考えられるのは、

おそらくルールを始動させないようにすること。

始動さえしなければ、そもそもこのルールと直面しなくて済むでしょうから。

だったら、「最初の厚意や譲歩は拒絶すればいい」と普通は考えてしまうものですよね。

そうすれば、おそらく相手の策略から逃れられる!

・・・かと思いきや、そんなことはおそらく無理です。

「相手からの厚意や犠牲の申し出は、絶対断ろう!」と、どれだけ固い決心をしたとしても、実行するのはそう簡単なものではないでしょう。

何故ならば相手から放たれた申し出が、

「本心であるのか?」

「自分を食い物にしようと企んでいるのか?」

それを見分けるのはすごく難しいことだから。

 

とは言え、中途半端に疑心暗鬼でいると、

「社会的ルールを悪用しよう」などと微塵と思っていない人の申し出を、素直に受けられなくなることにもなりかねません。

 

例えば、こんな話があります。

ある小学生の女の子が学校の行事で、町行く人に一輪の花を渡すことになりました。

ところが、女の子が花を渡そうとした最初の男性は、怒った口調で「いらないよ」と言いました。

困惑した女の子でしたが、彼女はもう一度男性に花を差し出します。

すると男性は、「お返しに何をさせるつもりだい?」と言いました。

それに対して女の子は、「何もいらないです。これはただのプレゼントなんです」と答えましたが、男性は疑いの気持ちを隠さずに女の子を睨み付け、

「君の魂胆なんてお見通しだよ!」

と言い残し、花を受け取らずに去っていったのです。

この女の子が受けた心の傷は計り知れず。

女の子はその後、誰にも花を渡せなくなってしまったそうです・・・。

 

この場合、一体誰が悪いのでしょうか?

その心ない男性?それとも、「贈り物は絶対拒否すべきだ」と、思い込ませた”誰か”?

何にせよ、社会的ルールを悪用するのではなく、私たちは本当に寛大な多くの人々に常に出会います。

そんな人々に対して拒否ばかりしていると、相手はきっと屈辱を感じてしまうはずです。

最悪人間同士のトラブルに発展してしまうことも。

 

このことから、

「厚意は絶対断ってやろう!」という対処法はオススメできません。

じゃあどうすればいいのか?

 

こう考えてみてください

「先々自分は沢山の相手に何かのお返しをすることになる」

これを心に留めておき、人から親切にされたらまずはありがたく頂戴しておけばいい。

そしてもしも相手の最初の申し出が、「こちらを丸め込む為の策略」だと判断したときに、それ相応の対応をすればいいのです。

これを徹底しておけば、

いざという場合に相手はもはや社会的ルールを味方にすることができなくなります。

誤解しないようにしましょう。

あくまでも、「厚意に厚意を返す」のであって、

策略には何も返さなくていいのです。

 

 

さて次は、

実際にありそうな例を見て、もう少し具体的に対策を考えていきましょう。

気になる方は、

社会的ルールに騙されない為に

をごらんください。




身近にある相手を説得するテクニック 「譲歩」

譲歩を学ぶ

 

 

今回は「譲歩」という方法をご紹介します。

中々目立ちはしないものの、状況次第ではこちらも非常に強力な武器となり得るものになります。

 

では、この「譲歩」とは一体どういうものなのでしょうか?
その前に、まずは例を挙げていきましょう。

 

譲歩が使われた例

クリスマスの日、あなたは道を歩いています。
すると正面から少年が近づいてきました。

自己紹介の後、少年はあなたにこう言います。
「明日の晩に、クリスマス恒例のイベントが開かれるのですが、僕はそのチケットを売っています。
一人1枚、1500円なのですが、できたら何枚か買って頂けないでしょうか?」

明日は特に予定はないものの、興味が無かったあなたは断りました。
少年は「分かりました」と言った後、こう続けました。

「ではチケットが駄目なら、ミニクリスマスケーキはどうでしょうか?1つたったの200円です。」

そして少年は去っていきました。
ケーキを2つ手にしたあなたを残して・・・。

 

ではここで考えてみましょう。

あなたは特別甘いものが好きなワケではありません。
そして変な浪費をしないように心がけているつもりです。
にも関わらず、何故買ってしまったのでしょうか?

 

くどいかもしれませんが、受けた親切に対してお返しをする義務が生じるのは

返報性のルール

の際に述べたとおりです。

 

つまり譲歩というのは

受けた親切に対して親切を返す義務が発生してしまうと同様に、
自分に譲歩してくれた相手に対しても譲歩を返す義務も生じてしまうことを言います。

 

上で述べた例で言えば、
少年は「1枚1500円のチケットを買って欲しい」という大きな要求少年が引き下げたことに反応してしまい、「今度は自分が譲歩しなければ」と思ってしまったのです。

本当はどちらも買うつもりは無かったはずです。
なのに、拒否から承諾へと行動は変化してしまった・・・。
「甘いものが好きではない」というあなたの事情など、問題にはならないのです。

 

どうして譲歩には譲歩で返そうとしてしまうのか?

その理由は、
人間の中に譲歩をしてしまう傾向があれば、それが社会の利益になるからです。

そもそも私たちは、他者には受け入れてもらえないような要求を少なからず初めはもっているものです。
そしてその要求を自分の中で少しずつ調整していきながら、社会の利益に協力できるようにする必要があるのです。

「要求」というのはほとんどの場合、妥協することによって達成されます。
その為、
譲歩することは時には重要な手続きの1つであると言えるんですね。

 

ではまとめましょう。

譲歩のまとめ

  • 譲歩とは、「相手からの譲歩に対して譲歩を返す」というもの。
  • 「相手が譲歩してくれたら、自分も譲歩しなければならない。」という義務が生じているお陰で、人は自由に最初の譲歩ができる。もしもその義務が無かったとしたら、誰も最初に譲歩しようなどとは思わないだろう。

 

そう考えると、譲歩は私達の日常には必要不可欠なものだと分かりますね。

何の見返りも期待できないのにも関わらず、何かを手放すような真似をしていたら・・・
私たちは損失だらけですし。




身近にある相手を説得するテクニック 「返報性のルール」

 

 

返報性のルールを学ぶ

 

返報性のルールとは

他人が自分に何らかの恩恵を施してくれた際は、自分も何か似たような形でそのお返しをしなければならないことを言います。

 

例えば・・・

あまり親しくない人から誕生日プレゼントをもらったところを想像してみてください。
その場合、「今度は自分がその人に何かプレゼントをしなくては・・・」という衝動に駆られてしまうのです。
当然相手の誕生日を知らなかった場合でも、その人の誕生日を調べて覚えておかなければならなくなるでしょう。

 

ですので返報性のルールは、
私たちの身の回りにある、簡単で強力な武器の1つに数えられます。

しかし、
こうした恩義の感覚を伴う返報性のルールは社会に広く行き渡っており、
そして「人間社会を生き抜くうえで必要不可欠である」と言われているほどです。

 

返報性のルールの誕生するまで・・・

「受けた恩義には、将来必ず報いなければならない」
返報性のルールはそんな義務感から生まれます。

ただし、その期間は永遠ではありません。
恩義が比較的小さいものである場合、それは時間の経過と共に報恩の義務は薄れていきます。
しかし贈り物が大変素晴らしく、記憶に残るようなものであった場合、義務は長い間生き続けてしまうでしょう。

 

例えば・・・

普段は不快な印象をもっているセールス勧誘員、
何を考えているか分からない知り合い、
評判が良くない組織団体の人・・・。

そんな彼らですが、もしも彼らが要求を出す前に、
“アメを渡したり”、”子供にぬいぐるみを渡したり”といった、ちょっとした親切を彼らからされただけで、要求を引き受けてしまう確率がぐっと上がってしまうのです。

つまり、
お客さんにちょっとしたプレゼントをするだけで、
売れる見込みのなかった商品やサービスを彼らは売ることができるというワケなんです。

 

それでも私たち人間は、「返報性のルールに従って行動するように」と教えられてきています。
そしてもしもこのルールを守らなかった場合、社会的制裁を受けることも私たちは知っているはず。

 

社会的制裁とは・・・

他人から取れるだけ取ってもなおそのお返しをしようとしなければ、あなたに対してほとんどの人が疑いの目を向けることになります。

そんな、「あなたはたかり屋だ」とか「この恩知らず!」というレッテルを貼られるのだけは避けなければなりません。
だから私たちは努力をするのでしょう。

そして時には不公平な要求であっても、それに甘んじてしまうのが私達と言えます。

 

 

その為、返報性のルールを用いると、
「普通」は断ってしまいそうな要求でも、
「相手に借りがある」という恩義は、受け入れさせようとする。
ここの普通というものを軽く圧倒してしまうのです。

 

参考

なので私達は、

「相手に借りがある」という気持ちがあると、普通は断るような要求でさえ、簡単に受け入れてしまうようになってしまいます。

 

ただ厄介なのは、そうした努力の過程の中で、
「恩義を感じさせることによって悪企みをしよう」と考えている相手に、まんまと騙されてしまうこと。

それだけ、返報性のルールの威力は恐ろしいものだと分かります。

 

ではここで、返報性のルールを利用した例を見てみましょう。

 

返報性のルールが利用された例1

とある団体が、町行く通行人から寄付を求めました。
そこで、まず彼らは何も知らない通行人に花を渡すようにしたのです。
(最も安上がりで効果的だったのが花だったとのこと)

突然花を手に押し付けられたり、強引に上着とかに花をピンで留められたり・・・。
そして「こんな花はいりません」と通行人がどれだけ訴えても、
「いえいえ。これは私たちからのプレゼントですから」と寄付団体は言い、返されることを拒むのです。

このように彼らは、返報性のルールを無理やり持ち込み、その上で寄付を求めます。

「相手が施しを求める前に施しをしてしまう」
この戦略は恐ろしいほど成功したと言われています。

しかし、返報性のルールの効力は徐々に失われていくことになりました。
そう、この話には続きがあるのです。
それは、
一度その手口に引っかかった人々が、その寄付団体の服をまとった募金勧誘者を警戒するように呼びかけたのです。

つまり、人々は「プレゼント攻撃」を撃退する準備を整えました。

結局その団体は厳しい財政難に陥り、
その結果、経済的な理由から閉鎖したとのことです。

 

返報性のルールが利用された例2

昔とある地域の宗教団体のリーダーだった人が、地域に住む住民に集団自殺を呼びかけました。
それに応え、ほとんどの人々が毒を飲んで死んでしまったのです。

しかし、一人の住民だけは違いました。
その住民はリーダーの命令を拒み、その地域から逃げ出したのです。

後にその住民が話すのは、
「私があのとき冷静に判断できたのは、どんなに困っているときでもリーダーからの恩恵を受けることを拒否していたから」だと語っています。

その団体のリーダーは、その住民にある聖書を渡していました。
その聖書にはこう書かれていたそうです。

「賄賂は決して受け取ってはならない。
賄賂は目のあいている者の目を見えなくし、本来は正しい人の言い分を歪めてしまうのだ」
と。
皮肉な事に、この住民はこの教えを守っていたのです。

彼は言います。
「1度でも彼から恩恵を受けてしまったら、完全に服従せざるを得なくなる。」

だから、彼に借りを作りたくはなかったのだと。

 

いかがでしょうか?
では最後にまとめです。

返報性のルールのまとめ

  • 返報性のルールとは、「相手がしてくれた親切を相手に返すべきだ」というもの。
  • 例え受け取ったものが自分が頼んだものでなくても、私たちはお返しの義務を感じてしまう。それが余計なお世話であったとしても・・・。

 




相手を説得するテクニック 「コントラストの原理など」

 

※今回参考にさせて頂いたもの

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

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¥2,916から
(2020/6/29 18:51時点)

これまで沢山の本に出会ってきましたが、

「影響力の武器」を自分なりに記事していく作業は特に興奮しました!!

めっちゃ面白かったです。

この本を読んでいた当時、丁度営業の仕事に携わっていたので使おうか悩みました・・・。

でもやっぱり、性格上騙す側はできないと感じたので、

いかに騙されないか?気をつけていこうと思いました。

 

意外と身近で使われている説得テクニック達

 

コントラストの原理

 

コントラストの原理とは

例えば、

始めに軽いものを持ち上げて、次に重いものを持ち上げると、
2番目の重いものだけを持ち上げたときよりも重く感じてしまう。

最初に魅力的な人と話をして、次に魅力的ではない人に会ってしまうと、その人が実際以上に魅力が無いように感じてしまう。

つまり同じものであっても、その前に起こった出来事次第で全く違ったものに思える現象のことです。

 

 

実はこのコントラストの原理は、身近でよく使われているものなのですが、そんなこと急に言われても中々ピンとは来ませんよね。

しかしそれもそのはずです。
このコントラストの原理は比較的簡単に誰でも扱え、機能させられる。
その場面を自分の為に組み立てているという形跡を全く見せずに、その武器を利用することができてしまう。
そしてうまく機能してしまえば、中々気づくことはできない・・・。

そう。故に悪用されないとも限りません。

 

 

例1

あなたが紳士服の店員さんだとしましょう。
スーツとシャツを探し求めてるお客様が来店しました。

ではこのとき、スーツとシャツのどちらを先に見せれば両方買わせることができるでしょうか?
お分かりの方も居られるでしょうが、紳士服の販売店では高い品物を先に買わせるように指導しています。

まずは高いスーツを買わせる。(ここでコントラストの原理が働く)
するとシャツを選ばせるときに、比較するほど高くはないように感じさせることができるのです。
(その他、靴やベルトやセーターにももちろん使えます)

 

例2

自動車を買うときにもコントラストの原理はよく見られます。

新しい車の売値を決めてしまってから、最新のオプションを次から次に勧めてしまうのです。
何百万という取引の後ならば、最新の付属品に払う数万円は取るに足らない額に思えてしまう

一見すれば些細な額のオプションを加えた場合でも、
最終的な価格は跳ね上がってしまうというのにも関わらず・・・。

つまり、コントラストの原理を使えば
先に提示する商品の価格次第で、同じ商品の価格を高くも安くも感じさせることができるのです。

 

 

「カチッ・サー」

 

「カチッ・サー」とは

頼みごとをされる際などに、例え理由らしい理由を述べていなくても、自動的に頼みを聞いてしまう現象のことです。

 

例1

例えば、
あなたはコンビニにあるコピー機を利用したいが、行列ができてしまっています。
とにかくすぐにコピーを取らなければならないのですが・・・。

このとき、
「先にコピーを1枚取ってもいいですか?」
など言っても、相当優しい人達ではない限りは、先にコピーを取らせてはくれないでしょう。

しかし、
「急いでコピーを取らなくてはいけないので、1枚だけコピーを取らせてくれませんか?」
と言えば、成功率がかなり上がることが分かっているのです。

「~ので」という単語は非常に強力で、これがあるだけでもかなり違います。

 

例2

例えば、
私たちは権威がありそうな人が言うこと、あるいは指示をそのときの衝動で受け入れてしまう傾向があります。

仮に相手が「専門家」であった場合、この「専門家」という肩書きだけで判断してしまったり、

相手の発言の内容など問題視することなく、ただ納得して同意してしまうこともあります。

要するに、
専門家の話を聞いた(カチッ)
だから納得して同意した(サー)

です。

 

「高価なもの=良質なもの・・・?」

 

 

現代社会の進むスピードはとても速く、その為私たちは私的な重要事項であっても、十分に考えて決断をすることが難しくなってきていると言われています。

上記の「カチッ・サー」という自動的な反応を利用し、使いこなす人は沢山居ます。

販売店では売れにくい商品ほど、価格をかなり釣り上げることによって捌こうとします。
実際、これが物凄く効率が良いとされているのです。

その理由は、
あまり疑おうとする人が居ないことと、
「高価なもの=良質なもの」という意識が強いからです。

商品に「値下げ」の付いた札を付けてあげれば・・・あら不思議。
最初の価格で売れてしまうのです!

 

これらはまさしく、
「高価なもの=良質なもの」という反応を利用していて、更に
「あ、高価なものだ!(カチッ)」
「値下げされてる!買おう!(サー)」
の効果も働いてるからこそ起きているのです。




本心と周りへの悪影響

父親の本心を暴く

~「娘の為に」という名の暴走~

 


「ただ娘の為に最善を尽くしたいだけなのだ」
と、夫は何度もこう語っていました。

しかし、それはです。
妻と、そして自分を欺いているのだから。

夫の本当の目的

夫は心から娘の幸せを願っていると思い込んでいたようですが、実は周囲に対して、
”娘の将来を熱心に考えている父親”なのだと印象付けたいが為に最善を尽くしていただけ。

本当に夫が望んでいたものは、
娘のオールAという成績だけだったのです。

 

この手のタイプの人は、望んできたものは必ず手に入れてきたような人物です。
自分は常に正しく、自分の方法こそ唯一の正しい選択だと信じきっています。

そしてこの手の考えの持ち主は、仕事では中々のやり手であることも多い。

 

 

参考

しかしそれを完全主義だと評価するのか?
もしくは強引で押し付けがましいと評価するのか?
反応は人によって当然違ってきます。

 

いつも自分の流儀を押し通し、譲歩や遠慮を知らない。
望みのものを手に入れるまで突き進むタイプではありますが、時にはそれが良い結果となることもあるでしょう。

しかし、この夫のように
突き進んでいいタイミングを誤ったり、状況を読み違えてしまったり、
控えなければならない場合にも関わらず、言動が激しさを増してしまうのは危険です。

また、家族では夫のイメージが常に反映されるものだとも考えています。
周りから見て、娘の印象がよければ父親のイメージも高くなるだろうし、
それなら娘は、父親のその良きイメージを周囲に伝えるのが義務なのだと決め付けていたのだから。

 

つまり、
「自分が周囲の目から、どう映っているのか?」
とにかく自分のイメージを気にしていたのです。

そんな強い思いがあるのにも関わらず、人の考えなど蚊帳の外。

とにかく自分のことだけ没頭します。

つまり、

彼が心から娘を思いやることなど、無理な話だったのです。

ここで妻や娘を苦しめたのは、
夫の思いやりと気遣いに隠れた攻撃です。(潜在的攻撃性とも言います)
隙あれば、自分の考えを誰にでも押し付けていた夫の行動が、問題を引き起こしていました。


表面上はいい父親を演じてはいますが、無意識に感情的な支配を家庭に及ぼしてしまっているのです!

 

因みに・・・

娘は毎晩、同じ悪夢にうなされているそうです。
その夢は、誰かが父親を傷つけようとしている内容でした。

その理由は、娘は無意識のうちに、
「父親を傷つけたい」 「死んで欲しい」
と願っているから。

娘は娘で父親の無慈悲には本能的に気付いてはいますが、
父親に正面からそんな気持ちをぶつけられるタイプではないのでしょう。

夢の中であれば、心置きなく自分の感情をさらけ出せる

おそらくそういうことなのでしょう・・・



では何故妻は支配されてしまったのか?

 

 

妻自身、心の内では夫の理不尽に気がついてはいたはずです。
なのにどうして彼女は夫に操作されて、夫の考えに同調していったのでしょうか?

二人は夫婦です。
実は夫は、妻が口にしそうな反対意見を黙らせる方法を心得ていました。

 

例えば

妻が主婦や母親としての義務をないがしろにした際に、自分を責めてしまうタイプなら、
方法は1つです。

自分にあれこれ指図することは、娘の幸せを否定することなのだと思わせれば良い。
妻の目に、父親だけが娘を心配している場面を映せば、
「自分は娘の幸せはどうでもいいのだろうか?最低な母親ではないのか?」
と考えるようになります。

つまり、夫は極めて効果的な手口を使い、自分の言動は当然のものとして振る舞っていました。
そんな自分に反抗するのは過ちなのだと、妻を納得させていたのです。

自分自身や家族全員に対して、自分勝手な”企て”を合理化させていたんですね。
この合理化によって、妻に「夫のように、娘に同じ愛情を注いでいない」と思い込ませる十分な説得力をもっていました。

 

まとめ

  • 成績優秀な娘に育て、自分のイメージを上げる
  • 娘の幸福など本当は望んでいない。ただ単に自分の欲望を満たそうとしているだけ

 

 

このことから私達が学べること

 

1分間だけでよかった。

「自分こそ、問題の張本人なのだ」
こう彼が認めることができていれば、やり直すチャンスがあったかもしれません。

夫というマニピュレーターが支配する家庭では、娘の精神科でのカウセリングでの治療法も失敗でした。

 

覚えておこう

マニピュレーターを相手にする時は、
Win-Winの関係に持ち込むシナリオを組み立てることが重要となってきます。

決して、彼らに敗北感を抱かせてはならないと肝に銘じておきましょう




勝つことにこだわる父親

ではまずは一例として、
とあるご夫婦の話を夫目線でご紹介します。

自分の思いに固執する家族が一人でも居るだけで、
心のそこから家族を思いやり、気遣っている人がどれだけ苦しみを被ってしまう
のか、理解して頂けるかと思います。

 

 

とにかく勝つことにこだわってしまうと・・・?

最近娘の様子がおかしい。

激しく苛立っていることもあれば、頑なな態度も見受けられる。
勉強の成績に至っては目も当てられない。

年頃の娘にはよくあることなのだろうと、妻と良く話してはいるのだが、
私の娘の場合は、特にそれが尋常ではないように思えてきている。
大事な一人娘なこともあって、とても心配だ・・・。

「なんとかしたい」
そう思い、これまで色々と手を尽くしてきた。

妻は、「プレッシャーに押しつぶされたのが原因」だと、度々オレに言っている。
しかし、問題はそんなに単純ではないのが俺の答えだ。

妻は何も分かっていない。

俺がどれほど娘の将来を案じているかお前には分からないだろう。
子供の幸せを本気で考えるのなら、
解決策が見つかるまで手を尽くすのが親なんじゃないのか?

先日、娘が”B”と記された成績表を持って帰ってきた。
娘はしかも、その結果の心配のあまり、「私は学習障害ではないか」と教師に連絡したとも言う。

オレは念のため、娘に検査を受けさせるべきだと教師に訴えた。
しかし、教師はそれを拒んだ。
「娘さんはうまくやっています。他のクラスメートとさほど変わらない、普通の子ですよ」と。

ふざけるな。
オレが娘を気に病んでいるのは、娘の幸せを常に願っているからで、それを妨げるものは取り除いておきたいからなんだ。
もうこの教師は信用できない。

娘を転校させるしかない。

この決意を妻に打ち明けると、妻は激しく反対した。
だが、オレの決意は固い。
自分たちに残された選択は、学校を変えて無関心な教師から娘を引き離すことだ。
新しい学校なら、両親の意見や心配事にも耳を傾けてくれるはずだから。

しかしいざ転校しても、成績は上がらなかった。
そして何故か、娘の反抗的な態度もぶりかえされ、今度は些細なことでイライラするようになっていった。
特に、私と一緒にいるときが特にひどい気がする。
何か手を打たねば・・・。

私は評判の高い、とある精神科クリニックに相談することに決めた。
娘と両親みんなで来るように言われた。
娘の為ならば父親の私は、なんだってやってやる。

カウンセラーの先生が言うには、
「娘さんは自分をひどく追い詰めている」
「娘さんの怒りは、特に期待ばかり押し付けるお父さんに向けられている」
とのことだった。

・・・話にならん!
カウンセラーの話は間違っている。
オレが間違っているワケないだろう。

おそらくアイツは心理学オタクなんだ。
悪気はないだろうが、娘のことは分かっていない。
少なくとも、オレのように娘のことは理解していないのだ。

翌日、オレはようやく問題の解決策を思いついた。

まずは最新のコンピューターと学習ソフトを買い込んだことを二人に告げた。

これなら毎日娘と家で二人きりで勉強できるし、そうなれば成績も上がるはずだ。
クリニックに通う費用を無くせば、学習ソフトの代金に回せる。
クリニックの先生が指摘していたが、もしも万が一に娘がオレに怒りを感じているのなら、
親密な時間を毎日過ごすことで、その問題も解決に向かうはずだ。

 


「これでようやく昔の娘を取り戻せる。
やはり結局、娘のことを一番考えているのは父親である私なんだな。」

 

 

さて、いかがでしょうか?

次回はこの父親の本心と、そして家族にもたらしている悪影響を書いています。

ご興味あれば、続きをご覧頂ければと思います。

本心と周りへの悪影響