「私とそれ」と「私とあなた」の関係を知り、今後の人間関係に活かそう

 

 

解決できる「技術的問題」と、解決が難しい「適応課題」

今存在している情報をもとに解決できる問題は、「技術的問題」と定義されております。

簡単に言ってしまえば、知識で解決できるものです。

 

例えば、
喉の渇きは水を飲めば解決します。
授業中に分からないことがあれば携帯で調べるか、先生に聞けば解決します。

技術的問題は、

知識や経験がそこまで無い人であっても、情報という武器を用いれば戦えます。

 

しかし皆さんの目の前には、情報という武器ではどうにもならない問題が山のようにあるはず。

そして多くの人が抱えている悩みのほとんどがこれに該当していますよね。

 

例えば、

「組織」、「政治」、「日本文化」、「慣習」など・・・。

これらの情報を集めるだけ集めても、納得のいく答えは見つからず、わたしたちは頭を抱えています。

 

そんな身近にあって一筋縄でいかないような悩みのことを、「適応課題」と呼びます。

今回は、「厄介な適応課題を少しずつ紐解いていこう」をテーマとし、学んでいこうと思います。

 

 

適応課題とは?

 

皆さんの身近にある「問題」のほとんどが適応課題です。

もっと細かく言えば、

多くの人が抱えている問題は人間関係であるとわたしは思っております。

 

ドッペルおにいさん
「適応課題=人間関係の問題」と置き換えると分かりやすいです。

 

 

解決が難しい適応課題と向き合うのは地獄

そんな適応課題ですが、向き合うのが難しいことと、そもそも「問題」が何なのか分からないところが非常に厄介です。

そんな、解決が難しい適応課題とはどういうものなのか、一例をいくつか見ていきましょう。

 

①適応課題の例

男性中心の職場が形成されている会社が、「我が社も女性進出に力を入れたい!」と方針を変えることを検討しているとします。

しかし、そんなギャップを埋めようと行動をしようとすれば、ある程度の犠牲を払わなければならないことも。

この場合、

社内にいる全員の価値観を変えようとする行動と、
女性進出を尊重するという行動にズレが生じている限り、この問題は解決できません。

 

②適応課題の例

組織の中で生まれる対立で一番深刻なのは、

お互いが明確に間違っていない、合理的な根拠を述べてでの口論です。

これでは、話はずっと平行線となります。

お互いが間違ったことを言っていないのであれば、問題解決に残されているのは解釈のずれです。

 

③適応課題の例

鬱気味な人から「この問題を乗り越えたい」と相談されたら、あなたならどんな言葉をかけてその問題と向き合わせますか?

よく言いがちなのは、

「ストレス耐性を身につけなさい」

「もっと笑顔で居ましょう」

でしょうが、これでは無理に行動を促してもうまくはいきません。

そんな「焼け石に水」のような提案をしてしまうのはよくあります。
それは何故か?

問題を解決させるのがあまりにも難しいからです。

だから「問題に立ち向かっている感」を味わせて安心させ、「鬱」という本質的な問題を回避させます。

そしてさりげなく別の行動にすり替えるのです。

「鬱」で悩む相談者も、「根本的な解決にはならない」と暗黙のうちに理解はできているのにも関わらず。

 

 

 

 

解決が難しい適応課題に立ち向かうための準備

ではこの厄介な問題を紐解いていくにはどうすればいいのか?
その鍵となるのは、人間関係の再構築です。

人間関係の再構築って?

「今現在の人間関係を新しくしましょう」ということです。

しかし、改めて新しい人間関係を築いていくには、手間と時間はやはりかかります。

 

問題というのは、「分からない」ことに気付けないと生まれることはありません。

なので、人間関係で行き詰まったときは

「アイツの考えが分からん」としっかり認められるようになるのが、適応課題に立ち向かう第一歩になるでしょう。

 

 

 

相手の視点に立って思考を変えてみよう

「適応課題に立ち向かおうって言われても、未だにピンとこない」

そう思われた方は、例をあげましょう。

 

 

もっと詳しく

今回新しく、会社でプロジェクトを立ち上げることになりました。
プロジェクトのリーダーの候補となっているのは、あなたと同期のAさんです。
また、あなたと同期Aさんは、仕事のこなし方でいけば同じくらいです。

しかし上司の話では結局、

同期のAさんをプロジェクトリーダーに任命するとのことでした。
この場合、あなたはそう簡単に納得することはできないでしょう。

さてこんなときにあなたは、

「同期Aはリーダーに本当にふさわしいのか?」という観点でAさんを見るようになります。

すると、「何をやった/やっていない」「できる/できない」
という軸で評価を下し続けてしまい、ストレスを感じることになります。

 

 

 

相手と視点を共有することで、見方に変化を起こす

このときにやることは、相手と視点を共有することです。

同期Aさんの立場になって、
「リーダーになることを役割づけられることにより、どんな不自由さを感じているか?」を考えてみましょう。

プレッシャーを感じているに違いないんですよね。

そこが理解できれば、相手に対する見方はガラっと変わるはず。

例えば、

「あいつの同期として支えてやるぜ!」という観点でAさんを見れるようになったら?

「こういうことやってみたらどう?」
「こうしたらできるんじゃね?」

というアイデアが次々と浮かんでくるのではないでしょうか?

 

 

 

 

人間の関係性は大きく2つに分けられる

人間同士の関係性には、

①「私とそれ」の関係性

②「私とあなた」の関係性

の2つがあります。

 

そんな2つの関係を理解していなければ、適応課題に振り回されると言ってもいほど重要なもの。

それぞれの良いところや悪いところをちゃんと把握しておきましょう。

 

 

①「私とそれ」の関係性

 

「私とそれ」の関係性とは、
お互いに人間であるのにも関わらず、相手のことをまるで道具のようにとらえる関係性のことを指します。

よく店員さんに横柄な態度をとる人がいますが、これがいい例です。

「こっちはお金を払っているのだから、客の要望はすぐに応えるべき。」
「これがお前の取るべき礼儀だろ?」

と言わんばかりです。

相手の年齢とか性別は一切関係ありません。

何故なら、
こういう横柄の人が相手に求めているのは、道具的な応答なのだから。

仕事でも同じです。

例えば、
「だって仕事だから」という理由で、相手をまるで道具かのように扱う輩は沢山いますよね。

「お互いに社会人で友達ではない」

「職場では私情を挟まないのがルールだろう」

などと偉そうに言ってきますが・・・

自分が期待していた通りの機能や役割を相手がこなせないと分かるや、態度を豹変させて相手を道具のように扱い始めます。

 

 

 

②「私とあなた」の関係性

「私とあなた」の関係性とは、

お互いが相手の存在を、「代わりが利かないものである」と考えた関係のことです。

 

例えば、
自分から見ればただの上司、ただの部下だったとしても・・・
そんな関係が、困難な問題に一丸となって挑むチームになったら、上司と部下という関係を超えたものが生まれます。

 

運動会を思い出してみると分かりやすいかもしれませんね。
普段喋らないような、どうでもいい人は少なからず居たはずです。
でも、自分のチームが勝つためにすごく応援しましたよね。

 

これは、個々の違いを乗り越えて「私とあなた」へと関係が移行したと捉えることができます。

 

 

 

 

まとめ

 

私達が思い悩んでしまうもののほとんどは、本当に解決させたい問題についてではないことが多かったりします。

あなたの悩みは、問題解決の手助けとなるものですか?

悩みのポイントがずれていたりしませんか?

 

 

ドッペルおにいさん
最後のまとめとして、誰かと口論になったときのことを考えながら、適応課題に立ち向かうということをおさらいしましょう。

 

 

step
1
「正しい/正しくない」の口論になった

そんなとき相手に対して抱くのは、

「どうしてこの人はこんな馬鹿みたいなことを言うのか?」

「どうしたら相手を黙らせられるか」

だと思います。

 

step
2
分からないことを認める

問題を抱えたことを認めましょう。

くよくよ悩むのではなく、ちゃんと悩むのです。

 

step
3
受け止め方を変えてみる

あなたが本当に伝えたいこと、やりたかったことをちゃんと思い出してみてください。

 

step
4
「相手はどんな事情があって、こんな主張をしているのだろう?」

「自分の主張をする」から、相手が置かれている状況を見てあげましょう。

相手の事情を少しでも理解できれば、

「あぁ、なるほど。そういう理由か」

となり、視点が大きく変化します。

 

 

 

ドッペルおにいさん
目の前で起こったこと何でもかんでも、すぐに解釈して問題に立ち向かう前に、一度立ち止まることが大事!