身近にある相手を説得するテクニック「拒否させて譲歩」
※まずは復習
コントラストの原理と返報性のルールの記事を書いておりますので、もし宜しければ一読くださいませ!
コントラストの原理とは
2番目に提示されるものが最初に提示されるものとかなり異なっている場合、それが実際以上に最初のものと異なっていると考えてしまうこと。
返報性のルールとは
相手が自分に何らかの恩恵を施してくれた場合、自分も同じような形で何かお返しをしなくてはならないこと
拒否させて譲歩を学ぶ
相手に「YES」といわせる為の非常に効果的なテクニックとして、最初の譲歩が使えることは前回書きましたが、
他にも「拒否させて譲歩」法というものもあるのでご紹介します。
やり方はとても簡単です。
拒否させて譲歩法が使われている例1
「誰かに要求を受けいれさせたい」と考えているとします。
そんなときは、
まずは確実に拒否されるような要求を出します。
そして相手が確実に拒否した後、それよりも小さな(元々自分が受けいれて欲しいと思っていた)要求を出せばいいのです。
すると相手は、2番目の要求を”自分に対する譲歩”だと考えてしまう為、自分の要求を受けいれてくれる確率はぐっと上がってしまうのです。
拒否させて譲歩法が使われている例2
あなたが、「普段はしつこいセールスの勧誘の人に、知り合いを晒すような真似は私はしない!」とどれだけ思っていたとしても、
例えば相手からの「買って欲しい!」という要求を断った後に、「それなら誰か紹介してくれませんか?」という譲歩の形で言われると、
ついその通りにしてしまうものなのです。
さて、なぜ「拒否したら譲歩」法が成功してしまうと言われているのか?
勘の良い方はお気づきでしょう。
そう、コントラストの原理も働いているからです。
(先に高価なものを購入していると、それよりも安い価格の商品がより一層安く見えてしまう現象のことでした)
これと同じように、
大きな要求から小さな要求へ引き下げるやり方であっても、
先に出した大きな要求との間にコントラストの原理が働いて、後から出す要求を非常に小さいと感じさせることができます。
参考
例えば、「5万円貸して欲しい」と友達に要求したいときは・・・。
「10万円貸してくれないかな?」と要求すればいいのです。
これにより、目的の5万円を実際よりもささやかな金額に思わせることができます。
つまり、
「返報性のルール(貸す相手が感じる)」と、「コントラストの原理」
この2つが「拒否したら譲歩」法に統合されると、本当に驚くべき効果をもたらしてしまうのです。
このように「拒否したら譲歩」法は、
自分の要求を通そうとする人が意図的に使うことも可能になってくるので、
「どうして相手の要求を聞いてしまったのか?」という理由を普段から考えない方は、特に注意する必要も出てくるかもしれませんね。
「初めにプレゼント攻撃をしたり、譲歩をしたりすることによって、私たちは強力な言葉の武器を得ることができる」ことは分かりました。
とはいえ、「相手を丸め込んでやろう」
そんな悪企みする社会的ルールの使い手が目の前に現れたとき、私たちはどうしようもないのでしょうか?
参考
対処法の1つとして考えられるのは、
おそらくルールを始動させないようにすること。
始動さえしなければ、そもそもこのルールと直面しなくて済むでしょうから。
だったら、「最初の厚意や譲歩は拒絶すればいい」と普通は考えてしまうものですよね。
そうすれば、おそらく相手の策略から逃れられる!
・・・かと思いきや、そんなことはおそらく無理です。
「相手からの厚意や犠牲の申し出は、絶対断ろう!」と、どれだけ固い決心をしたとしても、実行するのはそう簡単なものではないでしょう。
何故ならば相手から放たれた申し出が、
「本心であるのか?」
「自分を食い物にしようと企んでいるのか?」
それを見分けるのはすごく難しいことだから。
とは言え、中途半端に疑心暗鬼でいると、
「社会的ルールを悪用しよう」などと微塵と思っていない人の申し出を、素直に受けられなくなることにもなりかねません。
例えば、こんな話があります。
ある小学生の女の子が学校の行事で、町行く人に一輪の花を渡すことになりました。
ところが、女の子が花を渡そうとした最初の男性は、怒った口調で「いらないよ」と言いました。
困惑した女の子でしたが、彼女はもう一度男性に花を差し出します。
すると男性は、「お返しに何をさせるつもりだい?」と言いました。
それに対して女の子は、「何もいらないです。これはただのプレゼントなんです」と答えましたが、男性は疑いの気持ちを隠さずに女の子を睨み付け、
「君の魂胆なんてお見通しだよ!」
と言い残し、花を受け取らずに去っていったのです。
この女の子が受けた心の傷は計り知れず。
女の子はその後、誰にも花を渡せなくなってしまったそうです・・・。
この場合、一体誰が悪いのでしょうか?
その心ない男性?それとも、「贈り物は絶対拒否すべきだ」と、思い込ませた”誰か”?
何にせよ、社会的ルールを悪用するのではなく、私たちは本当に寛大な多くの人々に常に出会います。
そんな人々に対して拒否ばかりしていると、相手はきっと屈辱を感じてしまうはずです。
最悪人間同士のトラブルに発展してしまうことも。
このことから、
「厚意は絶対断ってやろう!」という対処法はオススメできません。
じゃあどうすればいいのか?
こう考えてみてください
「先々自分は沢山の相手に何かのお返しをすることになる」
これを心に留めておき、人から親切にされたらまずはありがたく頂戴しておけばいい。
そしてもしも相手の最初の申し出が、「こちらを丸め込む為の策略」だと判断したときに、それ相応の対応をすればいいのです。
これを徹底しておけば、
いざという場合に相手はもはや社会的ルールを味方にすることができなくなります。
誤解しないようにしましょう。
あくまでも、「厚意に厚意を返す」のであって、
策略には何も返さなくていいのです。
さて次は、
実際にありそうな例を見て、もう少し具体的に対策を考えていきましょう。
気になる方は、
をごらんください。