人気商品はいいものなのか? 希少性の原理を知る

 

 

珍しい物は本当に価値があるの?

 

ちょっとイメージしてみてください。

 

 

カフェで友達と楽しくお喋りをして盛り上がっていると、あなたの携帯が鳴り、別の友達から電話がきたとします。

もしもそんなとき、

目の前の友達に一言断りを入れて、その電話に出るでしょうか?

それとも目の前の友達を優先するでしょうか?

 

多くの方はこのような場合、やはり電話に出てしまうかと思います。

その理由をよくよく考えてみると、
「この電話に出なかったことにより、何か失うものがあるかもしれない」と無意識に考えてしまうからです。

例えば、
「もしも電話を取らなかったら、その人からはもう2度とかかってこないかもしれない」
「かかってきた電話がもたらす情報を永久に失ってしまうかもしれない」

電話の着信音を聞き流せば聞き流すほど当然そのリスクは強まっていくので、どうしても電話に出ることを優先したくなってしまうようです。

 

要するに人というのは、

「あるものが失われてしまうのでは?」と考えてしまうと、それに強く刺激を受けてしまうと言えます。

 

今回の重要ポイント

ある品物の数が少ない、もしくは少なりつつある物は、それだけその品に価値があると思い込んでしまう
あるチャンスが時間と共にどんどん手に入りにくい状況になっていくと、その機会がより貴重なものに思えてきたり。

これを希少性の原理と呼びます。

実は多くの人々が、何らかの形で希少性の原理に支配されているのです。

 

 

 

 

一見すれば何の価値も無さそうな物でも、「この世に2つとないもの」と言われると、それこそが価値だと思い込んでしまうということは、

これが誤った判断をさせることもあるということです。

 

 

数量と時間を利用した希少性

「数量限定」と「時間制限」

 

まずは、「数量限定」という希少性とは何かご紹介します。

 

数量限定

家電屋さんで、とある特売の品に興味を示し店員さんを呼んだものの、「実はこの商品は先ほど売れ切れてしまいまして・・・。確かそれが、最後の1つだったかと」
とか言われると、多くの方は間違いなく失望してしまいますよね。

「もう手に入らない商品です」と言われると、多くの消費者はその商品に対してより一層の魅力を感じてしまうはず

しかし大抵の場合、在庫はちゃんとあるのです。
心配しなくても店員さんは、「まだ在庫は(沢山)ありました」という知らせをもって(必ず)戻ってきます。
もちろん手には契約書とペンがしっかり握られています。

冷静に見てみると、「これで買う人なんておらんやろ!」などと思われるかもしれません。
しかし大抵の人にとって、もう既に契約は後戻り不能な所まで進んでしまっているのです。

この商品は手に入りにくいものだから、この上なく商品に魅力を感じてしまっていますし、「この商品を買おう!」という決定が1度なされているので、コミットメントも発生してしまっている。

時既に遅し。
お客さんは間違いなくこれを買ってしまうのです。

 

 

では次に時間制限です。

人はしばしば、「選択できる時間が無くなりつつある」というだけで、たいして関心もないことを行ってしまう生き物です。

時間制限

よく使われるのは、「独占!」「特別!」「終了!」「間近!」でしょう。

そしてセールスでよく使われる戦術は、最終期限を設けて、今すぐ決断を迫るというやり方です。

「今買わなかったら、後でもっと高い値段で買わざるを得なくをなりますよ!」

「二度と買えなくなりますよ!」

「今日はたまたまこの地域を回らせて頂いているだけなので、特別価格なんです!」

またあるいは、「後でやっぱり購入したい!と決心されても、会社の方針でもう一度お伺いしてお売りすることはできないのです」などと、普通に考えても有り得ないことを言う人も居るかもしれません。

しかし普通に考えて有り得ないことでも、
今欲しくさせてしまえば、商談についてあれこれ考える時間を与えさせないようにできるので、それに気付くことは非常に困難。

つまり彼らが「再訪問できない」と主張するのは、
後では手に入らないという脅しをかけて信じ込ませようとしているに過ぎないことが分かります。

 

 

 

 

どうして珍しい物に心動かされるのか?

 

 

そもそも私たち消費者は、「手に入りにくいものは簡単に手に入るものよりも良いもの」だと知っていますよね。
だからこそ、

魅力を感じた→良い物だ買おう

 

 

と、賢明に手っ取り早く商品の品質を迅速かつ正確に判断することができるでしょう。

そう、実はそこが弱点なのです。

 

無意識に生まれる弱点

「欲しいものを手に入れる機会が減少している」と感じると、『自由』を失っているかのような感覚に襲われます。

この『自由』を失うことが、人間はどうも我慢ならないのです。

『自由』が制限されたり脅かされたりしたときに人間がまずやることは、自由な選択を回復させようとすること。

そういった欲求が無意識に生まれてしまい、満たそうとするのです。

 

ココを必ず押さえる!

希少性の影響というよりも、人が生まれながらに持つ欲求のせいで心動かされると言ってもいいです。

今まで当たり前のようにできていたことが出来ないと分かったとき、私達は人が変わったかのように豹変してしまう

 

 

 

希少性は具体的にどういう影響を及ぼすのか?

 

 

 

 

 

では、希少性の問題点とは何なのでしょう?私達消費者にどういう影響を及ぼすのでしょう?

 

まず私達は、数少ないものや珍しいものを目の当たりにすると体が興奮してきます。
それが欲しいと思っていれば思うほど、当然その感覚は強いことでしょう。

そして特に、自身の状況が競争に巻き込まれている場合は、頭に血が上っていたりすることも多く、その為周りが見えなくなってしまうことがよくある。

そうなってくると、落ち着いて「これからどうすべきか?」を考えるのは容易ではないでしょう。

 

珍しい物を目にすると、そのことで頭が一杯になる。
それは時間が経てば経つほど、どんどんひどくなっていく。
理性や論理なんて、簡単にどこかに行ってしまう・・・!

 

補足

警戒するだけなら簡単

だけど、その警戒心に従いつつ行動していくのはまず無理。

例えば、
買い物をしているときにあなたの目の前で、今からまさにバーゲンセールが行われ始めようとしています。

商品を見ると、正直あまり欲しいものだとは言えません。
早い者勝ちで、何より多くの人が参加をしようとしています。
それでも普通なら、欲しくもないものに時間や労力をかけようとはしませんよね。

でも、よく見てください。
あれだけあった商品がどんどん無くなっていくんですよ?
湧き上がってきませんか?闘争心。

 

誰もが「自分にとっては価値が無いし必要もない」ことまでは気付けるのです。
それなのに、どうしても体は反応してしまい、興奮状態に陥る

一度でも興奮してしまうと、慎重な行動を取るのは大変困難です

 

ポイント

つまり、
どれだけ希少性という人間の傾向を知っていても、愚かな衝動からは身を守れないということです。

 

 

 

希少性の原理の罠に陥らない為には?

 

まず皆さんに理解しておいて欲しいのが、「興奮する」という行動は人である以上避けられないということです。
こればかりは仕方ありません。

 

 

珍しい物を見つけた際に、「まずい!希少性の原理が働く!どうしよう!」などと、あれこれ考えても仕方ない。
諦めて時間を経過させ、一度自身を興奮させましょう。

 

そして興奮し始めたら・・・そこからが勝負!!

 

例えば、
中々売られていないような、珍しい車をあなたが求めているとしましょう。

やっとのことで売られている店舗を見つけました。
そして何と何と、お値段も妥当です。

興奮しますよね? どうぞどうぞ。

はい!肝心なのはこの後です

まず珍しいものというのは、「求める」気持ちを高めてくれるものですが、
そもそも、どうしてその車が欲しいのか一度思い出してみてください。

例えば
「彼女が言ったんだ。
この車でいつか私を迎えにきて、どこか遠くへ私を連れ去って!ってな。」

・・・なるほど、それはそれで結構です。
どうかお幸せに。

ところがちゃんとした理由も分からず、
「ただ所有したいだけ」というのがあなたの回答ならば・・・。
今一度考えてみるべきです。

 

 

ズバリ、希少性の罠とは

所有するのが目的で、何かを欲しいと思うことはほぼないはずです。
必ず何か理由があるはずなんです。

手に入りにくいからといって、
果たしてそれが自身に幸福を届けてくれるかどうかは分からない。
価値があるとは言えない。

希少性の高いものを見ると、私達はしばしばこんな事実を忘れがちです。

 

 

それでは最後のまとめです。

 

希少性の原理のまとめ

  • 希少性の影響による胸の高鳴りを感じたら、それを立ち止まって考えるという合図に設定してください
    その目的とは、理性を取り戻すことです。何故それが欲しいのでしょうか?
  • 「珍しいものだから、これは素晴らしいんや!」これって正しい考え方ですか?
  • 欲しい欲求が続けば続くほど、最初に自分で決めていた大切なルールを忘れていきます。