譲歩を学ぶ
今回は「譲歩」という方法をご紹介します。
中々目立ちはしないものの、状況次第ではこちらも非常に強力な武器となり得るものになります。
では、この「譲歩」とは一体どういうものなのでしょうか?
その前に、まずは例を挙げていきましょう。
譲歩が使われた例
クリスマスの日、あなたは道を歩いています。
すると正面から少年が近づいてきました。
自己紹介の後、少年はあなたにこう言います。
「明日の晩に、クリスマス恒例のイベントが開かれるのですが、僕はそのチケットを売っています。
一人1枚、1500円なのですが、できたら何枚か買って頂けないでしょうか?」
明日は特に予定はないものの、興味が無かったあなたは断りました。
少年は「分かりました」と言った後、こう続けました。
「ではチケットが駄目なら、ミニクリスマスケーキはどうでしょうか?1つたったの200円です。」
そして少年は去っていきました。
ケーキを2つ手にしたあなたを残して・・・。
ではここで考えてみましょう。
あなたは特別甘いものが好きなワケではありません。
そして変な浪費をしないように心がけているつもりです。
にも関わらず、何故買ってしまったのでしょうか?
くどいかもしれませんが、受けた親切に対してお返しをする義務が生じるのは
の際に述べたとおりです。
つまり譲歩というのは
受けた親切に対して親切を返す義務が発生してしまうと同様に、
自分に譲歩してくれた相手に対しても譲歩を返す義務も生じてしまうことを言います。
上で述べた例で言えば、
少年は「1枚1500円のチケットを買って欲しい」という大きな要求を少年が引き下げたことに反応してしまい、「今度は自分が譲歩しなければ」と思ってしまったのです。
本当はどちらも買うつもりは無かったはずです。
なのに、拒否から承諾へと行動は変化してしまった・・・。
「甘いものが好きではない」というあなたの事情など、問題にはならないのです。
どうして譲歩には譲歩で返そうとしてしまうのか?
その理由は、
人間の中に譲歩をしてしまう傾向があれば、それが社会の利益になるからです。
そもそも私たちは、他者には受け入れてもらえないような要求を少なからず初めはもっているものです。
そしてその要求を自分の中で少しずつ調整していきながら、社会の利益に協力できるようにする必要があるのです。
「要求」というのはほとんどの場合、妥協することによって達成されます。
その為、
譲歩することは時には重要な手続きの1つであると言えるんですね。
ではまとめましょう。
譲歩のまとめ
- 譲歩とは、「相手からの譲歩に対して譲歩を返す」というもの。
- 「相手が譲歩してくれたら、自分も譲歩しなければならない。」という義務が生じているお陰で、人は自由に最初の譲歩ができる。もしもその義務が無かったとしたら、誰も最初に譲歩しようなどとは思わないだろう。
そう考えると、譲歩は私達の日常には必要不可欠なものだと分かりますね。
何の見返りも期待できないのにも関わらず、何かを手放すような真似をしていたら・・・
私たちは損失だらけですし。