人生

身近にある相手を説得するテクニック「コミットメント・一貫性」

image_pdfimage_print

コミットメントと一貫性の法則を学ぶ

 

まずは、あるカップルの話を例に見てみましょう。

コミットメント・一貫性の例

二人は出会った後、しばらくの交際を経て同棲するようになりました。

そして彼女は、彼氏にある不満を持ち始めました。
それは、

・酒量を減らしてほしいこと

・正式に結婚してほしいこと

です。

しかし彼女の言い分を、彼氏は2つとも拒否したそうです。

それをきっかけに、二人は喧嘩ばかりするようになってしまいました。
彼女は彼氏と別れる決心をし、やがて二人は別れました。

次の日、
彼女と昔付き合っていたボーイフレンドから電話がかかってきました。

そして二人は交際を始め、婚約。
結婚式の計画を立て始めました。

ところが結婚式の直前に、先日別れた彼から「もう一度やり直して欲しい」と電話があったのです。

彼女:「あんな生活には戻りたくないわ」

彼氏:「結婚したっていい」

彼女:「それでも、新しい恋人のことが好きだから諦めてよ」

彼氏:「考え直してくれるなら、お酒だってやめるよ」

そしてついに彼女は、「そこまで言うのなら・・・」と、
婚約をキャンセルして、もう一度彼と一緒に暮らす決心をしたのです。

しかしやり直した後も、彼の禁酒は三日坊主で終わってしまいました。
更に挙句の果てには、「結婚はもう少し様子を見てからやるべきだ」と言い出したのです。

普通なら彼女は怒り狂って、すぐにでも別れるかと思いきや・・・
なんと二人はまだ同棲を続けているそうです。
もちろん彼氏は相変わらず大酒飲み。
もちろん結婚の計画もありません。

にも関わらず、
彼女は以前にも増して彼氏に夢中だというのです。
何も満たされていないはずなのに、「以前よりも幸せ」なのだと。

 

 

さて、一体何が起こったのでしょうか?

これが今回ご紹介するコミットメント・一貫性になります。

 

そもそもコミットメントとは

簡単に言えば、
自分が下した重要な決断の正しさを、何が何でも信じようとする現象のことを言います。

 

 

参考!

例えば、
選挙で一票を投じた後、その候補者が何故か特別に感じないでしょうか?
そして事実、その直後から「投票した候補者が勝つ」と強く信じ込んでしまうのです。

その他、この現象は競馬でもよく見られます。
競馬が好きな人の多くは、
馬券を買う前よりも買った後の方が、勝率を高く見積もってしまう傾向があります。
まるで「自分が賭けた馬は特別だ」というかのように。
もちろん競馬場もコースも馬も、馬券を買う前と何も変わっていないのにも関わらずです。

これらの現象は、

「自分がすでにしてしまったことと一貫していたい」

そんな欲求が原因です。

 

つまりある決定をした後、
それと一貫した行動を取るように圧力がかかるのです。
この圧力によって、私たちは自分の決断を正当化しながら行動するようになっていきます。

 

参考!

私がどうしようもない彼を再び選んだ選択は絶対間違っていない・・・

つまり、

「自分は正しい選択をしたんや!」

そう自分に言い聞かせるだけで、本当に自分の決定に対する満足度が上がってしまう。

これが最初の例での現象の正体になります。

 

私たちは実際、
「自分のこれまでの行為や決定と一貫した思考や信念を持ってしまう」とされています。
しかしそれが強すぎてしまうと、時には自分を騙してしまうことさえある。

これと似たような経験が、おそらく皆さん1度はあるはずです・・・。