「私とそれ」と「私とあなた」の関係を知り、今後の人間関係に活かそう
わたしたちを悩ませる「人間関係」の問題こそが「適応課題」で、「適応課題」とはどういうものなのかを書いています。
ぜひ読んでみてください。
もくじ
「私とそれ」の関係では、問題が生まれやすい
人は気付かないうちに、「私とそれ」という関係性を構築しています。
そして更に、人間関係から生まれる問題は、単純な問題に見えやすいです。
「あの人は頑固で話を聞かない」→「だったら、あの人と話をしなければいいじゃん!」
一見すると単純そうで、複雑な適応課題に立ち向かうにはどうすればいいのか?
関係性を見直す必要性に気付き、相手を変えようとせず、自分が少しずつ変わっていくように努めるしかないです。
自分の意識を変えられなければ、目の前に立ちふさがる問題にすら気付けないし、新しい人間関係を構築させるのなんて夢のまた夢ですからね。
「自分が少しずつ変わる・・・?」
適応課題に立ち向かうためには、自分が変わっていかなくてはいけない。
だけど、自分の「何」を変えたらいいのだろう?
ここでポイントとなってくるのは、「見方」になります。
「私とそれ」の関係は、見方を変えて対処できる
日々を過ごしていると、無意識に沢山の物語が自分の中で生まれ、そして無意識に消えていっています。
もしも自分で勝手に作り出した物語に惑わされていると、相手との解釈の溝の差がどんどん広がっていきます。
例えば、「上司と部下の関係」でいうと・・・
上司は部下に指導をし評価を下すことが求められ、
また、上司は部下に「従順さ」を求めます。
逆に部下は上司にリーダーシップや責任感を求め、
万が一部下がその希望に答えてくれなければ、腹を立てたりする。
このように、
「上司なら~~すべき」
「部下はこういう存在であるべき」
というものを、多くの人は暗黙のうちに理解します。
例えば、「医者と患者の関係」では・・・
医者は患者の命を預かり、患者を「診断の対象である」という解釈が生まれます。
患者は医者に命を預け、「自分の身体の問題を解決すべきな先生である」という解釈が生まれます。
当然のごとく、これらはごく普通の解釈に過ぎませんよね?
けれど世間は、
「これが一般常識である」と主張し、時にはこれを押し付けてくることがあるんですよね。
『常識』の何がまずいのか?
『常識』という武器を掲げて口論をしたことが一度はあるでしょうが、これは最悪です。
その理由は、
あくまでもその人の解釈に過ぎないのに、常識に対して常識で迎え撃つと、お互いの解釈に溝ができるから。
解釈から生まれたお互いの溝は、お互いが意識していないとその存在に気付けないので、適応課題というワケです。
① 自分の役割や立場を自覚する
② ある分野の経験を積む
③ ①や②からの解釈の枠組みを無意識に作り出す
④ 「こんなの当たり前だ」と口にする
です。
自分とは異なる意見の相手に、「こんなこと常識だよ」と言われても、皆さんの心は動かされませんよね。
相手を動かしたいのならば、相手との解釈の溝に向き合い、相手と自分の解釈の間に橋を架ける作業が必要です。
解釈の溝に橋を架ける
いま一度、「適応課題に立ち向かう」についておさらいします。
適応課題に立ち向かう
- 人間関係に問題が発生していることに気付く
- お互いの解釈に溝があることを認め、「私とそれ」から「私とあなた」に関係を変える
- 見方を変えていきながら、相手との解釈の溝の中で橋を架けられる場所がないか探す
「常識(自分は正しいんだ)」が、実はただの解釈であることは、何となくお分かり頂けましたよね?
それでは次は、相手との解釈の溝に「橋を架ける作業」に入ります。
「橋を架ける」と言われると難しそうに聞こえますが、内容はとてもシンプルです。
解釈の溝に橋を架ける、4つの作業
相手との解釈の溝に橋をかけてあげるには、4つの作業が必要になります。
どれもこれも、相手としっかり向き合っていく心がけが大切です。
①自分の解釈をいったんどこかへやる
相手が中々自分の話を聞いてくれない場合は特に、
まずは一旦、自分の解釈をどこかに置く作業が必要です。
相手に対する自分の解釈をひとまずどこかにやれないと、橋が架けられないことを頭に叩き込んでください。
「解釈を一旦どこかへやる」目的は、
以前の解釈に囚われていたときでは気付かなかったような、相手の状況や事情を踏まえた上での解釈に置き換えていくことです。
解釈に橋を架ける事前準備とでも思ってください。
きっと皆さんは、
人間関係で揉めた際は、相手との間に溝があることには薄々気付けていますよね?
気付くところまではできていますが、
その問題と向き合うのを無意識に避けてしまっているのではないでしょうか?
②相手を眺めて観察する
相手との溝に対して、「向き合おう」と覚悟できたら、
溝の向こう側にいる相手の環境や状況を知る作業に移ります。
ここではとにかく、相手をじろじろ観察してみてください。
「なぜ話を聞いてくれないんだ?」
「なぜ自分に対して機嫌が悪いんだ?」
「どうしてあんなことにこだわるんだ?」
相手に対する「なぜ?、なぜ?」は、いーっぱい出てきます。
だって、適応課題が生まれている理由こそがそれだからです。
観察しても何も出てこないなら?
あなたの感情が観察を阻害している可能性が高いです。
例えば、
焦りながら観察したり、
不安を感じながら観察したり、
ちょっと怒りながら観察する・・・。
そうしたマイナスな感情を抱いたまま観察しても、上手くはいくはずがありません。
③どこの溝ならば橋がかけられるか探す
嫌っている相手をじろじろと観察し、適応課題の発生の手掛かりを掴むことはできましたか?
「なるほど。こんな事情であんな考え方をしてるんだな」ということに気付いたら次のステップ。
一度大きくジャンプし、「相手の立場になる作業」に移ります。
ここでいう「相手の立場になる」とは、相手が置かれている状況を想像することではありません。
"自分で実際に相手の立場を体験していく"という意味なので注意しましょう。
例えば、
「相手が自分の話を聞かないのは、仕事でプレッシャーを感じてしまっているからなのか?」の場合・・・。
実際にプレッシャーを感じながら仕事をします。
相手の立場や相手の作業をその身で感じ・・・
改めて、自分が相手に言ってきたことが、どのように見えるのかをシミュレートしていくわけです。
自分の解釈に変化が起きれば、「こちら側で出来ることがあるかも」といったことに気付くことができます。
すると、適切なアドバイスをくれる協力者や、情報を提供してくれる人を正しく見つけ出せるようになります。
④歩み寄る
「相手からの解釈を受け入れられた。やったー!」
で終わっては意味がありません。
受けいれられた上で、相手に歩み寄るまでが最終ステップです。
しかも、まだ安心はできません。
なぜなら、それでうまくいくかは分からないからです。
「・・・はぁ?」ですよね。
皆さん思い出してください。
人間関係って、面倒でしたよね?
うまくいかなかったときは?
②の「相手を眺める」に戻って、相手の状況を観察し直しましょう。
もしかしたら、相手に対する解釈がまだ残っていていて、何かしらの思い込みに囚われたままかもしれません。
よく、「自分から歩み寄れば相手は変わる」などと言われますよね。
しかし、それでも相手が何も変化しないこともよくあります。
そんなときは、自分に対する相手からの解釈に原因があるでしょう。
解釈の溝を放置すると起こる、2つのリスク
「誰かと口論をするのが苦にならない」という人は存在しませんよね。
ここまでお読みいただいた方はお分かり頂けると思いますが、本記事では『解釈』というワードが頻繁に使われています。
そして、『解釈』に意識を向け、相手との間に橋を架けるように努める理由は、意味の無い対立を避けることにあります。
必ず誰かと誰かの間には解釈に溝があります。
更にそれを解釈した第三者からすれば、「どちらも間違っている」と感じてしまうこともよくあります。
そして、そう感じたあなた自身も、解釈に偏りがあります。
しかし、
相手との解釈の溝に気付かないフリをしたまま、いつまでも放置しておくのはオススメできません。
その理由は、
「相手にだけに変化を強要する」
「文句人間になる」
この2つのリスクが絡んでいるからです。
①「相手が変わるべきだ」と思い込んでしまう
解釈の溝というのは、知らず知らずのうちに生まれます。
しかしそれを放置してしまうと、
「私とそれ」(まるで相手を道具かのように扱うこと)という関係が形成されていきます。
「私とそれ」の関係を長く築いていると、相手の立場や痛みなどを理解しようと思わなくなります。
するとやがて、相手にのみ変化を求めていくようになってしまい、手が付けられなくなります。
皆さん覚えておきましょう。
安全な場所に居座りたいのは皆同じです。
相手にだけに変化を求め、それによってリスクをとらせるような関係は、あっという間に崩壊します。
②すぐに人のせいにしたり、悪口三昧
続いてのリスクは、
常に誰かを責めて、誰かのせいにする表現が増えてしまうところ。
あなたの周りに、自分の解釈に意識を向けることをせずに、いつまでも他人の解釈を責めてばかりの人は居ませんか?
自分が考える「良いこと」を相手に施したのにも関わらず、その行動に対し感謝が無かったら惨めな気持ちになります。
すると、「感謝しない相手がおかしい」と相手を責めようとしますよね。
これは明らかに、解釈と常識が混同してしまっている人によく起きます。
自分とは違う解釈をしている相手に、「こんな当たり前なこともできないのか!?」と言うと、間違いなく陰口を叩かれます。
しかし実は、陰口は見方によっては便利でもあります。
何故なら、陰口を言われる=適応課題だからです。
分かりやすいでしょ?
だったら、相手を観察して橋を架ける作業に移らなきゃ!
まとめ ~ドッペルゲンガーとしての動き方~
人間関係の問題に対処するには、相手に抱いている解釈を一度どこかへ置けなければ解決することは難しいことはお分かり頂けたでしょうか?
今回の内容をざっくりまとめると、
適応課題に対処するには、お互いの正論を作り上げていく作業が必要なのです。
とはいえ、自分の解釈をどこかに置くことは至難の業。
それがゆえに、わたしたちの周りは人間関係の問題で溢れています。
では最後に、面倒で解決も難しくて、自分の身にしつこくまとわりついてくる適応課題に立ち向かう為に重要なポイントを今一度。
自分の解釈をどこかへやる(ポイントは、相手に「ありがとう」と伝えること。一瞬で思い込みが吹っ飛びますよ!)
相手をじっくり観察する
相手の立場を実際に体験する
解釈が残ったまま相手に歩み寄ると、喧嘩になりやすい
常日頃から、「私とそれ」と「私とあなた」の関係性については意識しておくこと!
これから人間関係の問題に立ち向かう予定の人は参考にして、偽りの自分(ドッペルゲンガー)で臨んでみてください。
仮面を被ったドッペルゲンガーに、そして本当のあなたにエールを・・・。