人間関係 心理学

恥を与えたり与えられる行為は、人間関係の崩壊を招く

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人間関係を築いていくうえで、『恥』の感情は無視できない。

 

 

自分の立場を失くすような状況を周囲に見られたとき、「恥ずかしい」と感じる。

恥ずかしさを感じると、動揺している自分を誤魔化そうとしたり、人との接触を避けることもある。

ご存じのとおり、『恥=苦痛』であって、本能が無意識に恐れてしまう。

 

 

例えば、

●良かれと思ってやったのに、上司がそれを人前で注意する

●何らかの失敗をした相手に「君って本当ミスするよね」と伝える

たったその程度のことで、恥ずかしさを感じる人が多いはず。

 

恥の意識は誰しもが感じたことがあると思いますが、この感情を侮ることなかれ。

恥はこれからの人間関係を左右させる重要な感情だということをまずはお伝えしておきます。

 

 

『恥』の取り扱いは激ムズ

まず初めにお伝えしたいことがあります。

 

自分が恥を感じても、相手に恥を与える発言をしても、何も良いことはないのですよ。

お互いにネガティブな行動しか増えません。

 

人間関係をぶっ壊して遊んでみたい人にはオススメですけどね。

 

 

 

「いやいや。恥を与えるような発言なんてしないし」とか考えても無駄で、

恥を感じることは簡単で、恥をかかせることはさらに簡単だから。

 

その事実が恥の感情をネガティブに、厄介さを増長させています。

 

恥の原因を知っても避けようがない

恥をかくような体験を何度もしてきているせいか・・・

恥をかく原因はほぼ決まっています。

 

 

原因は主に3つ。

 

①睡眠不足である

②コンプレックスを突かれた

③自分が本当に大事にしていることで失敗した

 

 

3つのどれかに当てはまっている人に対し、

少しでも責めるような言い方をすれば恥を与えて終わり

 

 

該当しないような気遣いができれば、人間関係をうまく築いていけると思います。

 

しかし残念なことに、

上記の3つは誰もが当てはまりやすいためか、恥の感情には振り回され続けてしまう。

 

 

恥の対処は難しい!

 

恥のケアを行おう

 

恥を感じるのも、他人に与えるのも簡単にできてしまう。

 

もうどうしようもない

 

どうしようもないけれど、恥を与えた後の行動次第では被害を少し抑えられる。

 

誰かに恥をかかせてしまったあとは、ケアを行いましょう。

 

 

確認しよう

「相手のために言ったから」

「悪いことは悪いといわなきゃいけない」

「自分がそうだった」

ぜーんぶ、どうでもいいっす。

「恥を与えた/与えてない」で考えてください。

 

 

意見を言うのは間違いだとは思いません。

「恥を与えているのだから、その後のケアをしないと逆に自分が恥を与えられるよ?」という話です。

恥を感じても冷静でいられる自信はあるの?

 

 

こんなケアでOK

相手が部下の場合・・・

見るからに落ち込んでいるときは、

「何かあったら声をかけて」

ちょっと気にしている感じなら、

「この仕事お願いしてもいいかな?〇〇さんにしか頼めなくて」

など。

 

 

 

上司が部下に恥を与える光景はなんとなくイメージできるはず。

しかし意外と、親が子供にうっかり恥を与えることも多いので注意。

 

「そんなことでは、大人になったらやっていけない」

「ほかの子はもっとしっかりやっている」という比較など・・・。

子供の行動を否定し、恥を与えてる愚かな行為です。

 

子供に恥を与える理由は1つしかない。

注意する親自身が周りの目に敏感で恥を感じたくないから。

 

部下に恥のケアをしたくないのはまだ分かる。

しかし、相手が大事な我が子ならば、そうも言ってられないのでは?

 

 

 

恥を与えないように、共感を示せる発言を心がけよう。

否定をしたら、すべて台無しになる。

 

 

『恥』を感じて起こること3つ

恥の感情によって、どのような行動を取ってしまうのかをご紹介します。

 

恥は簡単に感じれてしまうくせに、

恥を感じている人がとる行動は基本ネガティブなもの。

 

恥をかくと、

どのような行動が増えるのか3つご紹介します。

 

①自分と相手を混同する

恥を感じると、共感能力が低下します。

共感能力が低下すると、相手に嫌な思いをさせる言動をとりがちになるので注意が必要。

その理由は、

『共感』とは、恥を含めた様々な感情に耐えながら、「あなたと私」という関係の間に橋を架ける作業だからです。

 

共感の流れ

①相手に対するイメージを捨てる

②相手に意識を向けて、相手の気持ちを受け取ろうとする

③相手と自分に橋がかかる

 

言葉にするとシンプルではあるけれど・・・

恥を感じると、このやり取りができなくなります。

 

恥を避けながら過ごしていくと、共感能力を発達させることはできない。

 

 

共感能力の低下が引き起こすこと

すぐに誰かを責めるような発言や、人をネガティブにするような人は、共感能力が低すぎることが原因です。

「傷つけたい!」という衝動がコントロールできない人もいるし、そもそも相手が嫌な思いをしていることを一切考えられない人もいる。

 

 

 

共感能力が低い状態とは、

視野が狭くなる

不機嫌になる

語彙力が幼児並みに

 

これらは、

恥をうまく処理できない人や、プライドが高い人によく見られます。

その先に待つのは、恥を自分以外である他人に向け始める行為です。

 

ドッペルおにいさん
代表的なフレーズは、「そんなミスくらいいいじゃん!」

指摘者がおかしいことを伝え、罪悪感を与える

 

自分の恥を周りに与えるような行為を、「射影」といいます。

詳しくは。コチラで書いていますのでご覧になられてください。

 

 

 

本当に能力がある人ならば、恥を与えられたところで、失われた恥は能力で何とかできます。

しかし、特にプライドが高い人は、現実を歪めて膨らませた自信で身を包んでいます。
根拠の無い偽者の自信では、周りに恥を与えて誤魔化すくらいしか方法がとれないんですね。

 

どれだけ表面上は自信があっても、能力がないと意味がない。

簡単に見破られるし、何より嫌われる。

 

②自尊心を取り戻す目的で接する

恥をかいたら、どうしても自尊心が低下してしまいます。

うまく対処できれば問題はないけど、プライドが高い人にとっては非常事態です。

 

恥を回避する人は、キレてなんとかすることは上で述べた通り。

キレた後の行動もやばいけど、自尊心を回復させようとする行為もやばいです。

 

自尊心の回復目的のコミュニケーションとは、

自分が「勝てる」と思った相手の株を下げるようなものです。

 

恥を与えられたあとに相手を批判することで、自分の株が下がった現実から目を背けることができます。

そのため、批判のターゲットとして選ばれるのは、自分よりも劣っている相手だけ。

 

人を見下すような言動ばかりの人は、恥の感情をかなり恐れています。

その裏にあるのは、「本当は自分には能力がない」という不安感なのです。

その不安を鎮めるためにも。「お前よりもすごい」ことを周囲に必死に訴えかけ続けます。

その方法しか知らないんですね。

 

 

こういうときは自尊心コミュニケーションかも?

〇武勇伝語りが多く、それを適当に流したり褒めなかったりすると不機嫌になる

〇いい大人のくせに、明らかな無視をする

〇人の輪の中に積極的に入ろうとする

 

不機嫌な顔を見せてくる人や、無視をしてくる人は、

「自分が勝てると思った相手」

「こいつは俺を褒めて自尊を高めていればいい」

と思った対象にだけ。

③妬みが生まれ、粗探しをする

自分に無いものを持っている優れた人を目の当たりにすると、妬みの感情が湧きます。

 

妬みとは、自分と他人を比較し、他人の優れた部分を羨むことで、それが憎しみに変わるような感情のことです。

 

他にも下の例のように、

大袈裟な褒め言葉から始まり、自分をけなす言葉が続いたときもこれに該当します。

 

「○○さんって入社したばかりなのに本当に凄いよね!」(誉め言葉)

「私なんていつも怒られてばかりだから。○○さんのようになりたいなぁ」(自分をけなす)

 

一見すると、言われた側は気分は悪くないですね。

 

しかし、所詮は妬みを抱きながらの誉め言葉。

褒めるに値するような人でないと分かると、もう褒めることはしなくなります。

妬みからの誉め言葉とは、「気づける自分はすごい」というアピールにすぎないからです。

 

 

妬みを抱きやすい人間は、粗探しを行い自分よりも劣っているところを探します。
誰かの不幸を見て、人知れず笑みを浮かべます。

相手を妬むだけで能力を上げようとしないので、もう救いようがありません。

 

 

ポイント

●自分の非を中々認めようとしないのは恥の回避手段の1つ

●妬みの感情を抱くというのは、失われた自尊心を今まさに回復させようとする決定的瞬間

●その回復させる手段として用いられるのが、相手への攻撃。

 

妬みに気づくということは、自分が劣っていることを認める行為なので、
恥の意識を嫌っている人は、何としてもその苦痛から逃れようとします。

 

 

恥と妬みは、繋がっているのだ

 

恥の感情と向き合う3つのポイント

恥に振り回されないためには、日頃から共感能力を鍛えていくことが必要です。

 

ポイントを3つお伝えするので、参考にしてください。

 

 

  • ①恥をかくのがイヤでプライドが高くても、会話に「ありがとう」をねじ込む
  • ②自分の得意なこと、苦手なことを書き出したりして把握する。
  • ③起床したら瞑想する。

 

①感謝を口にすることで、定期的に恥の感情から意識を遠ざけます。

 

②得意なことや苦手なことはしっかり把握して、苦手なことは誰かにお願いするべし。

 

なんでも完璧にこなそうと考えると、恥を避けがちになる。

 

③瞑想は、恥を感じる毎になるべく早く正気に戻す手助けとなるのでマジおすすめ!

 

 

まとめ

ま恥を感じたり与えたりしても良いことはない!

 

では、ポイントをまとめます。

 

以下の3つに当てはまると恥に振り回される

 

  1. 睡眠不足になる
  2. コンプレックスを突く・突かれる
  3. 大事にしていることでの失敗

 

 

 

恥を感じた状態になると?

 

  1. 自分と相手を混同する
  2. 共感能力が低下し、余計な発言が増加
  3. 失敗による自尊心回復のため、自分よりも下とみなした相手をターゲットに選ぶ
  4. 妬みによる粗さがしが増える

 

 

 

恥の意識に振り回されないためには、共感能力を鍛えることが大切。

「感謝されて嫌がる人間はいない」

「得意・不得意の把握」

「瞑想をして適切な状況判断をする頻度を増やす」

 

この3つを覚えておくといいと思います。

 

 

恥による悪影響を理解できたら、

「恥の伝染『恥の投影と屈折』」を次の記事でご紹介します。

 

恥はどのように人に移っていくのでしょうか?